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臨床獣医学に立脚した生殖発生工学を通じて,
Pharm technologyの開発を目指します。

KEYWORDS

卵子成熟と発生,異種移植,遺伝子改変,マイクロミニピッグ

私たちは,減数分裂から遺伝子改変技術の構築まで,マイクロミニピッグを用いた生殖発生学研究を進めています。
​生体に立脚した生殖発生工学​
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私たちの生殖工学技術の特徴は,臨床獣医学に立脚していることです。マイクロミニピッグの飼育,発情の確認,ホルモンなどの処理,超音波診断装置を使った卵子の非侵襲的な採取といったIn Vivoから,採取した卵子を使った受精卵の作製,作製した受精卵の操作,遺伝子改変・ゲノム編集を施した再構築胚の発生といったIn Vitroに至る研究を進めています。

​非侵襲的な採卵技術に基づく遺伝子改変技術
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私たちは外科的な手術をせずにマイクロミニピッグから卵子を採取する技術(新規OPU技術)を確立しました。この方法で採取した卵子を使って受精卵を作製し,凍結・融解,借り腹に移植することで産子を得ることができています。

 この方法で採取した卵子をつかって作製された遺伝子改変・ゲノム編集マイクロミニピッグは,清浄性が高く(ブタ由来のウイルスを持つ可能性が極めて低い),かつ両親が明確(トレーサビリティーが担保できる)なことから,疾患モデルや異種移植領域において高い将来性を有しています。

​異種移植・臓器再生

今,世界的な臓器不足の問題を解決する方法の1つとして,ブタの臓器をヒトへ移植する試みがなされています。この試みが成功すれば移植を受けられずに亡くなってしまっている数多くの患者さんを救うことが可能となります。

 この異種移植における大きな問題として,ブタ由来のcytomegalivirusやRoseolovirusが残ってしまうことが挙げられます。臓器移植後,ブタ由来のウイルスがヒトの体内で活動を開始し,移植した患者の生命を脅かしてしまいます。

 これまでのブタにおける遺伝子改変法では,食肉処理場に由来する卵巣・卵子を使用して遺伝子改変ブタ(移植用ブタ)を作製してきました。しかし,この食肉処理場の卵巣・卵子を使用する方法では,作製した遺伝子改変ブタにおいてcytomegalivirusやRoseolovirusを除去することがとても困難です(Hansen S,.,et al., Virology J., 2023)。このことが上記の問題を産んでいました。

 しかし,生きた個体から卵子を採取する私たちのOPU技術を活用し,遺伝子改変ブタを作製できれば,この「ブタ由来のウイルス問題」を解決できます。私たちは異種移植・臓器再生に挑戦し,いつか臓器不足問題を解決したいと考えています。

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​ブタ精巣の器官培養
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精子形成に着目し,ブタ精巣の器官培養を行っています。ブタの精巣を細かく切り,寒天の上にのせて長期間培養します。精子形成は,精細管の内腔にあった生殖幹細胞が基底膜に移動して,定着するところから始まります。その基底膜に定着した幹細胞が分化し,やがて精子へと至ります。精子形成は幹細胞単独で進む現象ではなく,周りにあるセルトリ細胞やライディッヒ細胞といった精巣内の細胞たちが作る環境があってはじめて進む現象です。減数分裂や精子形成をとりまく微小環境を理解したいと考えています。

​生殖工学の獣医畜産分野への応用

あいち農業イノベーションプロジェクトに採択され,愛知県農業総合試験場の先生方と産業豚における新たな生殖工学技術の開発を試みています。私たちの飼育しているマイクロミニピッグで開発した技術を産業豚に応用するというスキームです。小型で扱いやすいマイクロミニピッグ(ミニブタ)で研究を進め,産業豚にフィードバックし,そこで生まれた問題を試験場の先生方と共に議論して改良を進めるという循環が生まれています。

 やはり2018年に岐阜県で発生した豚コレラ(豚熱)による現場の疲弊,技術がなかったためにブランドブタを失ってしまったことは,私たちにとって大きな出来事でした。二度と関係者が育ててきた遺伝子資源をなくすことの無いように研究を進めていきたいと考えています。

生殖科学分野における工学研究者との協働
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胚培養士さんの不足をハードで補う研究をされている先生のプロジェクトに入れていただき,生物学的な評価を担当しています。工学の世界には,コンピュータ,ロボット,AIなど,私たちに馴染みのないコトバが散らばっています。この研究では,私たちの生物学的な視点とは違う工学研究者の視点に驚かされます。「あったらいいな」と思うモノを作る工学研究者(エンジニア)との共同研究はとても面白いです。

​生殖・発生工学技術

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