イニエスタからのヒント
- 生体医工学研究室 岐阜大学

- 2023年6月7日
- 読了時間: 2分
更新日:2023年6月8日
全く関係のないことですが,神戸のイニエスタが7月に退団します。これに関係した雑感です。
2010年にドイツのミュンヘン大学へ短期留学をしました。ここでブタの生殖工学,遺伝子改変を知り,今日に至ります。
ミュンヘンでは胚操作やクローン技術も学んだのですが,それよりも研究におけるチームを強く印象付けられました。つまり,研究はあくまでもチームで行うもの,今日のサイエンスでは個人でできることは限られていることです。
何も知らずに,ただ海外を見てみたいというだけでミュンヘンに渡航しました。幸いなことにミュンヘンでは遺伝子改変ブタを使って疾患モデルや臓器再生を試みているラボに滞在できました。後で知ったことですが,業界内では世界的にも知られたラボでした。
そこでは分業といいますか,各研究者が自分の役割をしっかり持って研究をしていました。言い換えれば,各プレーヤーがチームの勝利のために行動している感じです。その年,ヨーロッパのチャンピオンシップでバイエルンミュンヘンが優勝したこともあり,ラボのチームプレーがサッカーみたいだと感じました。
そこで「獣医学はどんなプレーヤーになれるだろう」と感じました。6年間の学部では資格取得もあるため,広く獣医学を学びます。そうすると実質,研究できるのは大学院博士課程の4年間だけです。私には「一つの領域において,農学や理学で生殖生物学をやっているラボや研究室に追いつき,追い越すのは難しい」と感じました。
それならば,他の人たちができないことって何なんだろうと考えました。「そう,生体を使うこと,獣医学的な処置やケアができること」,また「動物病院の先生方にお手伝いいただければ,高度な獣医臨床に立脚した研究ができること」だと浮かびました。
もしかしたら,絶対的なストライカーにはなれないかもしれないけれども,ストライカーに適切なパスを出して勝利を演出するようなプレーヤーにはなれるかもと,身分不相応な妄想を抱きました。ワールドカップとはいかなくても,そこそこできるかもと。
そんなことを考えてもう10年以上が立ちます。世界最高峰のパサーであるイニエスタはまだまだ遠くにありますが,少しでも彼に近づきたいと毎日を過ごしています。
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